INTERVIEWインタビュー

スペシャルインタビュー

ハムFoxtail-Grass Studio

劇伴・サウンドプロデュース/主題歌「綴り色」作編曲

参加オファーを聞いた時の心境や感じたことがあれば教えて下さい

主催の91さんとは過去にいくつかの企画でご一緒していたのですが、ご自身が最後までシナリオや作詞も手掛けるという制作は今までになかったのでとてもワクワクしていたのを覚えています。
また、イラストの火照ちげさんとは初めての制作だったのですが、イラストや関連作品は常日頃から拝見していたので「ようやくご一緒できる!」という嬉しい気持ちでいっぱいでした。

「伝う色、夜に流れて」の制作でのハムさんの立ち位置やどのように制作に関わっていたか、改めて教えていただけますでしょうか。

本作では、音楽に関わる部分のほぼ全てをお任せいただくことになりました。
といっても主催の91さんご自身の目指したい方向性が明確だったので、僕のほうはいかにそれを汲み取りながら音楽に落とし込めるかという部分へ注力しました。
サウンドプロデュースという立場の肩書きはあまり普段いただくことが少ないので緊張しつつも、決められた題材やテーマのうえで物語に沿って音楽を作ること自体は普段からよくやっていたので、いつもどおりの自分でとても自由に作らせていただきました。

まずは主題歌「綴り色」について。ハムさんはこちらの作編曲を担当されていますが、制作にあたり意識したことなどあれば教えていただけますでしょうか。

全体としてキャラクターやお話の質感、温度感などをすごく大事に汲み取りたいなと思い、シナリオや企画全体の流れなどを教えていただく段階でかなり細かくヒアリングするところから始まりました。
何度か直接の打ち合わせを経て参考曲もけっこうな数を並べて厳選したり、「これは明るすぎる」「これはテンポが早すぎる」などと繰り返しイメージチェックをした記憶があります。
その中で「この曲に合わせて映画のエンドロールが流れてそうな感じ」という共通の認識が上がり、そこが一番意識した点かもしれません。各所に散りばめられた繰り返しメロディの形がお気に入りです。

また、お歌に関しても作品全体の方向性を聞いた時から「今回はyuikoさんにお願いしよう!」ということを当初からイメージしていました。普段からとても安心と信頼のおけるボーカリストさんなので、今回の作品全体にもしっかり合致する歌唱をいただけて本当にお見事でした!

続いて、全6曲の劇伴楽曲について。こちらについてはいかがでしょうか。

劇伴楽曲の制作でも主題歌同様に、しっかりとした打ち合わせを経て方向性を定めたうえで取り組みました。
各曲のオーダーも明確にシーンを区切って作るものではなく、心情や空気感に寄せたイメージサントラのような構成になったため、そのまま自然と本編を読み進めながら音楽を流して楽しんでいただけるような質感を意識しました。
とはいえ音楽的に飽きさせてしまうような単調さは避けるために、ハッと耳に入ってくるような耳馴染みのいいメロディモチーフを随所に入れたりしました。
そのおかげで、本編を楽しむうえでのサウンドトラックとしてはもちろんのこと、普段から作業用BGMにもできるような楽曲が集まったミニアルバムになったかと思います。

あとこれは種明かしの一つですが、作中でも出てくる「視点」の違いという部分を取り入れるために、細かく波形を刻んだ逆再生の音を意図して多用しています。

そのほか、制作時に特に印象に残っているエピソードなどがあれば教えて下さい。

制作上の時間都合などで断念した案なのですが、もともとサントラのほうは「10~15分の尺で1曲になるようなメドレー的なイメージトラックにしよう」という案もありました。いつかリベンジする機会がありますように…!
あとは、基本的に音楽の制作はひとりで黙々と進める作業が多くなるので、本編制作となる91さんと火照ちげさんがワイワイと作り上げていくのを見ていて少し羨ましい気持ちになった記憶があります!(笑)

最後に、制作を終えて現在の心境や感想などをお聞かせください。

けっこうギリギリまで制作を詰めていたので、終わった直後である今は「駆け抜けた~!」という安堵感が一番強いです。出来上がった本編冊子も、個人的にもすごく好みな雰囲気の作品に仕上がっているので、とても楽しい制作になったことは間違いありません。
お話とイラストという実在性の高い創作物に比べて、音楽は可視化できないものになるので……それが作品として噛み合ったと思える瞬間は、何においても作曲者として嬉しい思いでいっぱいです!

PROFILE
ハム(Foxtail-Grass Studio)
ハム。埼玉県出身。作編曲家。
ゲームやアニメ、CM映像での楽曲制作業務の傍ら、個人では自主制作アルバムのリリースなどを行っている。好きな息抜きは銭湯での長風呂。