INTERVIEWインタビュー

スペシャルインタビュー

91Delheziword.

企画・アートディレクション・シナリオ・デザイン・シーン背景・Webサイト・ムービー制作
主題歌「綴り色」作詞

制作範囲について

主なところだと、ベースとなるコンセプト設計とアートディレクション、シナリオ執筆ですね。チーム制作全体に影響するものとしてとても重要なところでしたが、やはりシナリオが完成するまでに結構な時間をかけてしまいました……!

あとは制作物全体のデザインとWebサイトのデザイン・開発。これは普段から自分が業務や同人作品様のお手伝いなどで行っている分野なので、自分自身でこなそうと決めていました。
主題歌「綴り色」の歌詞執筆と、告知映像・試聴映像の制作も担当していますが、どちらも初挑戦となる分野でした。やってみたいとは思いつつもなかなか機会がないので、「こういう機会でもないとやらないな」と思い自分でやってみることに。

企画自体について

前々から「1人のイラストレーターと1つのコンセプトに基づいた本を作りたい」という思いがあり、今年(2019年)の3月に火照ちげさんにその旨をご相談させていただいたというのが企画の始まりだったと思います。雨の日、とあるライブの開場案内待ちというタイミングでした。
火照ちげさんのインタビューでも話が挙がってましたが、かなり前から「一緒にものづくりをしたいね」という話をお互いにしていて。当時はお互いに多忙な時期でなかなか身動きが取りにくいという状況が続いていたのですが、今回はようやく念願叶ってご一緒できて光栄です。

企画やベースのコンセプト自体は、自分の中でいくつかあたためていたネタがあったのですが、その中から火照ちげさんのイラストに合ったものを選び具体的に膨らませていったかたちで進めていきました。

シナリオについて

本編(=本)に収録されているシナリオは、実は全体を部分的に切り取ったものだったりします。制作チーム側で共有していたシナリオだと、Webで公開している前日譚よりも前、前日譚と本編の間のストーリーなどかなり細かく作っていました。当初企画のコンセプトとしては「1本のアニメーション映画を本で見せる」ということを意識していたので、90分〜120分くらいの尺で描けるようなものを目指して作っていました。
制作チーム用のシナリオでは、キャラクターの細かい心情や感情の流れもすべて細かく書いており、どちらかという神様視点のものでした。これを完成させるまでに細かい調整をかなり長い時間繰り返していた気がします……。
ただ、完成したシナリオをそのまま掲載してしまうと何もかもがネタバレな状態でクライマックスに向かうことになるし、何よりページ数の関係で「すべては見せられない」のは分かっていました。なので、最初に作り上げた神様視点のシナリオを「読者用」として作り直し、細かい描写や特にラストシーンなどは、読者の方に委ねる構成にしています。ただし、多くの方が「ハッピーエンドだ」と思っていただけるものにする、という方向性はブレずに完成させられたかなと。

※細かいストーリー解説については後日、本サイトで公開予定です。

キャラクターデザイン、イラストについて

キャラクターデザインについては、私の方からキャラそれぞれの年齢や性格等の資料を火照ちげさんにお渡しし、デザインを進めていただいたという流れになりました。どのキャラも想像の上をいく素敵なデザインでとても感動しました。

表紙やシーンごとのイラストなどは、こちらから構図等を提示させていただいて制作していただきました。ただ、その中でも「こっちのほうが良いのでは」というようなアドバイスやご提案を火照ちげさんからいくつかいただくものもあり、それがすべて頷ける内容だったので、「じゃあそれでいきましょう!」と乗っかることも。
本編収録のシーンごとのイラストや構図は都度ラフ等で確認しながら進められたので、着手後の認識のズレ等が起こることはなかったですし、それがとても助かりました。
特に表紙イラストが上がってきた時には「間違いないな」と率直に感じたことを覚えています。キービジュアルとしても、作品の雰囲気が一発で伝わるとても素晴らしいものになりました!

劇伴楽曲について

昨年(2018年)に紅緒さん(サークル・Dontsugelで活動するイラストレーター)の企画『ラックガール バース・イン・ザ・ダーク』でご一緒させていただいたこともあり、今回はハムさんに制作をお願いしました。
普段ハムさんが制作されるオリジナルのBGMは「日常に寄り添う」ものだと個人的には感じていて、シナリオの流れやキャラクターの感情に沿うかたちの雰囲気にしていただきつつも、例えば何かの作業の合間だったり電車移動中だったり、そういった場面でも選んでいただけるようなものにしてほしいという思いでおりました。結果、企画主としても1人のファンとしても、とても満足のいく素晴らしい楽曲を制作していただけてとても嬉しかったです。

楽曲制作にあたっては、私の方からいくつか参考曲を提示させていただくかたちをとりました。こう言ってしまうと投げやりに聞こえるかもわかりませんが、シナリオや作品の雰囲気、目指す方向性などをお伝えして数回の打ち合わせを挟んだ後は、私の方で決めた各楽曲名をお伝えし「あとはハムさんが良いと思うもので」というお願いの仕方をさせていただきました。

主題歌「綴り色」について

こちらも劇伴楽曲同様、参考曲をピックアップして打ち合わせをしていきました。映画のエンドロール中に流れているようなイメージで、かつシナリオに合わせて「儚い感じだけど切なすぎない」「あくまでも前向きなもの」というオーダーをさせていただきました。私からの要望をかなり細かく受け取っていただき、ハムさんにはとても感謝していると同時に申し訳なさも感じています……ですが仕上がった楽曲は素晴らしく、そして歌唱を担当してくださったyuikoさんの歌声もバッチリはまっていて、これから自分にとっても何度も何度も繰り返し聴きたくなる楽曲を作っていただけたと感じています。

そしてこれはあまり声を大にして言ってこなかったのですが、歌詞については私の方で書かせていただきました。シナリオを書いた人間が執筆するのが一番間違いないだろうと思いつつも、初チャレンジだったのでとても難しく感じました……。
初チャレンジなのに「本編を読むと意味が分かる」という構成にしたいという願いがかなり強く、そこにこだわるあまり時間がかかってしまいました。ハムさんにもチェックしていただいて、アドバイスをいただきながら完成させていきましたがとても貴重な経験になりました……! いつかまた作詞に挑戦する機会があるかもしれませんから、日頃から語彙力を養うことを意識したいと思います(苦笑)。

制作時のエピソードや裏話など

WEBサイトというものに絞ったエピソードになりますが、「公式サイトを作ってもどれだけの人が見てくれるんだろう」という不安と葛藤がありました。
いまはSNS時代なので、イベント前の作品チェックはTwitterなどで完結するという方もかなり多いと思っています。私自身、普段からWEBサイト制作のお仕事をさせていただいているので、WEBにも力を入れたいとは思いつつも、「作っても見てもらえない」ということが一番怖いんです。
いつもであれば格好つけて「特設サイトを公開しました、詳細はこちら」ってURLと一緒にツイートするだけなのですが、今回はTwitterでも(しつこいんじゃないかってくらい)頒布物の情報や企画についての説明を発信し続けていた気がします。今回の企画のためのWEBサイトは、より詳しく知りたいという方が見に来るものにして、「最低限知りたい情報さえもWEBサイトにいかないと得られない」という状況は良くないなと。そういう思いもあり、WEBサイトに力を入れつつも「今回はSNSを頑張ろう」と当初から意識していました。が、やはり慣れていないのでプロモーションの難しさに頭を抱えていましたね……。もう少しここのあたりも学ばないとなという教訓にもなりました。

制作を終えて

火照ちげさんに「こういうものをやりたい」とざっくりな相談をしたのが3月頭なので、実に約半年間の制作期間でした。もう、私1人だけでなにかを作り上げるということが「難しいな」と思っているという心境もあったんですが、今回のようにチームで1つのものを作り上げるというものはとても楽しく、そして確実に良い経験になっているなと思いました。
もうこれくらいの規模のことを自分主導でやることはしばらくないとは思いますが……いつかまた、思い切り「好き」と言えるなにかを作りたいなと思います。

改めまして、絵というビジュアル面を担っていただいた火照ちげさん、作品の世界観を伝える上で重要な音楽として関わっていただいたハムさん、yuikoさん。そしてそして、印刷面で相談に乗ってくださった青時さん、作品をよりよく伝えるべく素敵な撮影をしてくださった2muraさんには感謝しかありません。本当にありがとうございました……!

自分自身のパワーアップに努めつつ、なにかおもしろい企画などがあれば参加したい気持ちなのでお声がけお待ちしております(宣伝)。
最後に、本企画を知っていただけたすべての方に、最大級の感謝を。ありがとうございました!

PROFILE
91(Delheziword.)
91(きゅういち)。北海道出身。デザイナー・フロントエンドエンジニア。
Webサイトのデザイン・開発を中心にロゴや本の装丁・エディトリアルデザイン等を行う。個人制作では、インタビューを主な内容とした『syncA』シリーズを不定期に発行している他、アパレル等の制作も行う。好きなカレーは豚角煮スープカレー、甘口。